YOASOBI:コンポーザーのAyase、ボーカルのikuraからなる“小説を音楽にするユニット”。2019年のデビュー曲『夜に駆ける』のストリーミング累計再生回数は史上初の10億回に達し、代表曲で『【推しの子】』主題歌の『アイドル』は5億回を史上最速で突破。2020年からは3年連続でNHK紅白歌合戦に出場、2023年よりアジアツアーを5カ国で実施した。今年4月の開催が決定したアメリカでの初単独ツアーは即完売するなど、世界中にその名を轟かせている。こちらでは1月より開始した初のZEPPツアー、大阪公演初日の様子をお届けする。
開演前、期待に包まれた場内に手拍子が響き渡る。スクリーン内の本が砕け散り、上手からYOASOBIが登場。ikura氏のメガホンを使用した煽り、天井に吹き上がるスモークと『セブンティーン』で勢いよく幕が開けた。「そんなものじゃないでしょ!?大阪!」に応える様、『祝福』で更に大きくなる観客の掛け声。『三原色』ではタオルを振り回し合い、勢いはどんどん加速していく。
オープニングトークでは、お互いの好きなたこ焼きの食べ方についてのトークが繰り広げられ、Ayase氏は塩、ikura氏はネギポンと回答。続いてスタンドマイクに切り替え手拍子を誘い、『ハルジオン』を奏でた。白のシンプルなスポットライトの下で歌うikura氏は凛々しく、MC中の可愛らしさとのギャップに惹きつけられる。
「スマホのライトを振って!」とオーディエンスにリクエストすると、『たぶん』を歌った。曲に合わせ揺れる光が幻想的な世界観を生み出し、YOASOBIと音楽と観客が一つになる。
中盤、ライブテーマである”POP OUT”にちなみ、ステージ背景全体を活かした3Dの演出が施された。『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』インスパイアソングの『Biri-Biri』ではモンスターが、『怪物』ではドラゴンが飛び出し、会場からは「おぉ~!」という歓声が。『もしも命が描けたら』ではikura氏の重みのある歌唱が、立体的な歌詞と共に心に刺さった。
彼女の美声が際立ったのは『優しい彗星』。歌唱力と感情表現が美しいメロディーと相まい、観客を感動へ誘い込んでいた。一転し、一番の盛り上がりを見せたのは昨年の『紅白歌合戦』でも披露された『アイドル』。ファンの掛け声が会場に響き渡り、まさに”アイドル”YOASOBIと観客が一体となる瞬間だった。
『勇者』ではAyase氏の力強いパフォーマンスが印象的。仰反るように全身を駆使し魅せた。オープニングテーマにもなったアニメ『葬送のフリーレン』が背景に流れ、曲の世界観に一層引き込まれていく。
また、「一生の思い出になるように、沢山の人に支えられて作った。POP OUTには”日常から飛び出して忘れられない日になるように”という意味も込められている。これからも”冒険”を続けるYOASOBIについて来て欲しい。」と伝え、『アドベンチャー』を届けた。客席には風船が投げ込まれ、会場は一気にテーマパークの様なポップな空間に。
最後に『HEART BEAT』を奏でる二人の顔が大きくスクリーンに映し出され、一緒に口ずさむファンの姿に心が温まった。アンコールでは、「10月のドーム公演でまた会おう。」と誓い合い『夜に駆ける』を披露。カラフルな照明の中で飛び跳ねるYOASOBIとファンの一体感が最高潮に達し、フィナーレにふさわしい瞬間となった。
多忙を極める中、高音パートもブレずに歌い切るプロフェッショナリズム。観客と一緒に歌ったりと、ファンとの交流を大切にする姿勢が印象に残る。また、毎曲終わりに「ありがとう」と繰り返す謙虚さからも人気の秘訣が垣間見れた。30分で即完したアメリカツアーを経て迎える10月のドーム公演で、どんな姿を見せてくれるのか。まだまだ止まらないその勢いに、期待が膨らむ。
Photo Credit: [Shumpei Kato]
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