"26年の経験値を融合させ、和のエンターテイメントを世界に持って行きたい"
KUNI RX: 2018年、2022年、2023年と3期に渡りカリブ海、ヨーロッパ諸国を巡るロイヤル・カリビアン・インターナショナルの世界最大級豪華客船「シンフォニー・オブ・ザ・シーズ」常設劇場「アクアシアター」のショーにてアクロバティック・マーシャル・アーティストとして主役に抜擢され、世界中の人々を魅了。男子新体操や武道など、様々なアクロバットを組み合わせ、国内外のステージライブパフォーマンス、映画、モーションキャプチャー、アクロバット講師として活躍している。主な代表作はユニバーサル・スタジオ・ジャパン「ウォーターワールド」、「仮面ライダーウィザード」アクロバット吹き替え、ハリウッド映画「47RONIN-ザ・ブレイド」、モーションキャプチャー「鬼滅の刃」など。現在は日本文化の「忍者」と自身の26年の経験を融合させ、KUNI RX独自のスタイルで和のエンターテイメントを世界に発信すべく邁進している。
ロイヤル・カリビアン・インターナショナルの豪華客船、シンフォニー・オブ・ザ・シーズのアクアシアターで主演をされていた時のお話を聞かせて下さい。どのようにしてこの仕事が決まっていったか、経緯をお聞かせ頂けますか?
2018年11月に初めて行ったんだけど、僕と同じマーシャルアーツのチームの人が先に行ってて、その人から「ちょっと来期の契約やってくれないですか?」って連絡がきて。「今別の仕事してるけど行ってみたい!」って思って。ビデオとプロフィールと写真をロイヤル・カリビアンに送ったら、「君いいね!是非来て」ってなってオーディションせずに決まったって感じですね。
その仕事が決まった時の心情、リハーサルで苦労した点、またそれらをどう乗り越えられたか、実際本番を迎えてみていかがでしたか?
海外に行きたかったから、この話しが決まって「おぉーし、海外行くぜ!」という意気込みと同時に、世界最大級の豪華客船のショーの主役なので「おぉ..自分大丈夫かな…?」とも思った。実際行って自分の振り付けと構成はほぼ全部自分で考えて作ったんですけど、最初は色々不安だったけど、リハーサルが進んでいくにつれて「なるほど、結構イケるな!」みたいな。
アクアシアターなのと野外なので、やっぱり床は滑るし、風吹くし、揺れるし、衣装が水含んで重いし、ショー中ほぼ出ずっぱりで体力結構使うしで「これはとんでもないキツいショーだな」と。それを1週間に3日、1日2ショー、計6ショーを毎週毎週こなして1年間。自分でも「よくやったなぁ!」と思いますね。大変でした。今までのショーの中でダントツでこのショーの体力使用度はヤバかった。
1番最初に行った時は「こんな感じかな」くらいの振り付けで行って、なんとなくやってみて1年間こなしたって感じ。1回目は「なんか自分のやりたい事が出しきれてないなぁ」という思いがあったけど、2回目はもう全部分かってるから、「ここ、もっと良い振り付けいけるな」って思ってより体力使う構成にして。1回目よりもだいぶキツい内容になってしまって、「これはヤバい」って思いましたね。でもなんとかやりきって。3回目行った時は2回目と同じ内容にしておきました。今まで18年エンタメやってるけど1番キツいショーでしたね。
船上かつ海外での勤務、多国籍な環境という点に関して始めはどういう印象を持っていて、実際やってみていかがでしたか?
抵抗みたいなのは全然なかったですね。全てが初めてで「よーし豪華客船行くぜぇ!!」って”胸の高鳴り”の方が大きかったですね。でもちょっとしか英語喋れない状態で行ったんで、契約書、船のルール、ステージ以外のところでのルールとか全部が英語だからよく分からなくて。なんとか気合いで大丈夫でした。「あ!これやっちゃいけないんだ」っていうのをちょっとずつ自分で体験して、「なんとなーくこうなのかなぁ?」みたいな。だいたい勘でしたね。
船上で思い出に残っているエピソードはありますか?
やっぱり主役だし日本人なんでお客さんからしょっちゅう声を掛けられますね。「昨日ショー出てた人?一緒に写真撮ろう!」って。
1番嬉しかったのは、体調悪くてフラフラしながらショーやるって時があるんだけど、その日最前列に座ってた子供達がいて。その子たちが自分達で書いた絵を、「We love this show!」って最後に渡しに来てくれて。「そうなんだ!そんなに好きで観たくて来てくれたんだ」と思って。自分こんなに体調悪くてフラフラだけどそんなに観たくて来てくれてるんだっていうのを知って、「ちゃんと体調を整えてしっかりパフォーマンスしなきゃな!」と改めて思い知りました。その絵は今も楽屋の廊下に貼られています。
この仕事を通じて新たに挑戦したい事の発見などはありましたか?今後にどう活かしていきたいですか?
つい先日も「来期の契約どうですか」って船のオファーの話しがきたんですけど断ったんですよ。その他にも2つ船のオファーきたけど全部断って。なぜ断ったかと言うと、やっぱり海外に行くと日本の素晴らしさをより実感するんですね。「あ!やっぱ日本って素晴らしい国なんだなぁ」と。日本人の気質、文化、伝統、アニメ、漫画、音楽って世界中の人に今もなお愛されてる訳で。いろんな事やった結果、日本の文化と伝統をコンセプトに、僕が今までやってきた26年の経験値を融合させて、和のエンターテイメントを世界に持って行きたいなと。自分達で創って自分達で海外に持って行くっていうスタイルにしたいなと強く思いました。
現在はどういう活動をされているのですか?
今現在は日本の文化と伝統と、自分の今までやってきた26年の全能力を融合させた、自分の能力と相性が良い「忍者」のスタイルで自分を構成させる創作活動。伝統芸能の方々、日本人として何か特殊な才能を持った方々と、日本人として日本人が築いてきたモノを世界に発信する事をテーマに様々な方々とコラボさせて頂いて、新たなエンターテイメントのショーケースを創作中ですね。
それとパフォーマンスと映像制作。と、同時にマイクを付けて喋りながら行う大道芸パフォーマンスも。イベントに出たり、ショーに出たり、ストリートでもやるし。大まかに言うとその2つかな。
今は自分の活動優先で講師業はやってないんです。自分達で全部創って、自分達で先方と取引して、自分達が主体となって活動するというスタイルでやっていきたいなと。
あと来年の2月と3月に新橋演舞場にて「スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内 ヤマトタケル」に出演します。日本芸能の舞台にアクロバット役で役者と観客の皆様を盛り上げますので、皆様是非観に来て下さい。
KUNI RXさんのされている仕事に憧れている人へメッセージをお願いします。
僕は小さい頃から動き回ってるのが好きな少年で、小学生の頃に体操の漫画を見て「体操やってみたい!」って思って。中学入ると同時に転校する事になって、その中学校に行ったらたまたま体操部があって。奇跡でした!それで13歳から器械体操を始めてっていう偶然からのスタートで、そっからやってく中で気付いたら現在26年目になっていたと。
自分がただ好きな事をずーーーっと続けていたから今こうなってるっていう事と、自分が本当にやりたいと思ったことを、周りの誰に何を言われようが、思われようがただひたすらに突き進めていく事によって、こうやって未来が開かれていくんだと思います。自分からどんどん行動起こして、世の中に通用出来る能力を身につけて色んな人達と出会って、ガンガン自分を発信していく事が何よりも大事なんじゃないかと。なので皆さんも自分がやりたい事に突き進んで、それを習慣にして継続して、維持して日々向上させる!そして助けてくれる周りの皆さんを大切にして感謝の気持ちをお伝えして、是非自分がやりたい事を実現させてください!
最後に、僕の座右の銘は「生涯健康習慣継続維持向上」です。
Photo Credit: [N/A]
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