5年ぶりの来日!熱狂で観客を異国へ
「バーン・ザ・フロア」が生み出す異空間を彼らの日本ツアー「BE BRAVE. TOGETHER.」で初めて体験してきた。開幕と同時に一斉に湧き上がる歓声と拍手に、コロナ禍が完全に終わりを告げたかのような熱気に会場全体が包まれた。パフォーマー達の情熱的で力強いダンスと会場の一体感は、日本ではない場所にいるかのような錯覚を抱かせるほどだった。
指先から足先まで感情が滲み出し、ダンスを通じて伝わる心情。まるで一つのドラマを観ているかのような感覚に陥る。オープニングナンバーの盛り上がりから2曲目の「ボヘミアンラプソディ」では一転。彼らのパフォーマンスから溢れ出る悲しみの表現に、私自身も感情移入し思わず涙ぐんでしまった。
後に続く「スムース・クリミナル」では気迫と力強さに圧倒され、見ているこちらも知らぬ間に力が入る。「ハレルヤ」では再び涙がこみ上げ、感情のジェットコースターに乗っているようで、一瞬も休む隙を許さない。異なる言語の楽曲や歌詞に注目していなくてもストーリーを十分に理解できるほど、ダンサー勢の表情はもちろん全身を使った感情表現が素晴らしい。絶妙な照明テクニックが彼らの感情をより一層引き立てていた。
ダンスの印象が強いバーン・ザ・フロアだが、シンガー達の歌唱力にも魅了された。シンガーだけのパフォーマンスシーンも存在し、まるで実力派アーティストのライブに来たかのような圧巻のスキルに、思わず前のめりになりそうなった体を抑えた。スペシャルゲストシンガーの西川貴教の力強いパフォーマンスも素晴らしく、世界中から選ばれたシンガー達に劣らない歌唱力で会場のボルテージをさらに高めた。彼の会場を盛り上げる煽りやトークスキルも抜群。全編英語詞の楽曲も外国人シンガーと共に違和感なく、見事に歌い上げていた。西川氏の存在感はバーン・ザ・フロアに完璧にマッチしており、このカンパニーはキャスティングでも実力を証明した。
これほど感情的なダンスを観るのは初めてだった。ダンスでここまで感情を表現できるのか、物語を明確に伝えられるのか、そしてダンスだけでなく歌でも心を魅了するのか、日本人をこれほどまで熱狂させるのか。初めてのバーン・ザ・フロアのパフォーマンスは驚きの連続だった。セットリストも世代を超えて愛される曲が多く、ファンの年齢層にしっかりと応えていた。彼らの緻密な振り付けの中には、数センチのズレでも互いに衝突してしまうほどの高度なテクニックが垣間見れ、相当な練習量が必要だと容易に想像できた。彼らが考え上げ、体に叩き込んだ数多くの振り付けや堂々たるパフォーマンスには、努力と情熱が滲み出ていた。だからこそ、彼らには多くのコアなファンがいるのだろう。
Photo Credit: [バーン・ザ・フロア]
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