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独占インタビュー:ニューヨーク現役舞台演出家 河村早規

「アメリカのミュージカルを日本に持っていく架け橋に。」

By: Feb. 15, 2024
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河村早規:日本出身のニューヨークを拠点にする舞台・映画ディレクター。ペース大学アクターズ・スタジオ・ドラマスクールで演出のMFA(芸術修士)を取得した。現在は受賞歴のあるニューヨークの舞踏劇団連翹奏/RenGyoSohのアソシエイト・アーティスティック・ディレクターとして、またラウンドアバウト・ディレクターズ・グループのメンバーとして活躍している。最近の演出作品は、「ICEBERG」(連翹奏/RenGyoSoh)、「Everest 」(Chain Theatre)、「The Giving Tree」(Unfix NYC)など。アソシエイト/アシスタントとしては、「The Cher Show」(全米ツアー)、「Murder on the Orient Express」・「A Jolly Holiday: Celebrating Disney's Broadway Hits」(Paper Mill Playhouse)、「JOY: A NEW MUSICAL」(George Street Playhouse)、「Mystic Pizza」(Ogunquit Playhouse)などがある。

まず渡米されるまでの経緯、何故アメリカに行こうと思われたのですか?

普通に日本の大学に行って就活をしていたんですが、その中で「1回就職をして会社で働き出してしまうと、なかなか自分のやりたいことが出来ないんじゃないかな?」という疑問がありました。それで「演劇の演出を勉強してみたい」っていう気持ちが就活をするごとにどんどん大きくなってきたのを感じていました。そっちに方向転換をしようかなと思った時に、当時私が調べた中で大学院でMFAという芸術修士号を取れて勉強出来るところが日本にはなかったので、結果的にアメリカになりました。

その大学院を選ばれた理由も目指していた専攻があったからですか?

そうですね。まずMFAのディレクティングが取れるところで絞りました。アメリカの田舎の方にも全然あるんですけど、せっかく3年間しかいられないかも知れないんだったら大きい都市の方が良いかなと思ってニューヨークに絞って。その中から、私が行った大学院はアクティングも勉強出来る大学院だったので、それをすることに意味があるんじゃないかなと思って、最終的にはカリキュラムの内容で選びました。

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大学院を出られてすぐにアーティストビザに切り替えられて、大変だったこと、どうやってそれを乗り越えたか教えて頂けますか?

分かってはいたんですけど大学院入学の時に、周りとのスキルや経験差に大きな衝撃を受けました。最初はとにかく大学院にいる人たちに一歩でも近付こうと思って、在学中からほぼボランティアで色んな現場に行って仕事を取っていました。ディレクターの仕事ってなかなか取れないので、まずはアクターとして色んな経験を週末はするっていうところから始めました。目の前にある出来ることから一歩一歩繋げていって、そこから在学中に今一緒に働いてるディレクターの方とたまたま出会って仕事するようになったので、それが今に繋がってるのかなと思います。

少しでも繋がりを増やす為の手段の一つとしてアクターを選ばれたのですか?

ディレクターとしてアプローチをする時に、”どういう風にアクターに物事を説明するか”という勉強の為にアクティングのクラスを取っていました。パンデミックに入ってアクターの人たちが皆んなフィルム業界に移動していった時に、唯一現場に入れる方法はアクターとして応募するしかなかったので、それが結果的に良い様に働いたかなと思います。

今後もビザを更新して活動を続ける予定ですか?

そうですね。更新したり、アーティストグリーンカードを考えています。

弁護士とかに頼られましたか?

はい。大学院1年生の後半ぐらいに「せっかくやるんだったらアーティストビザを取れるようにやろう」って思ってやっていました。書類を貯めたり、その為の仕事を取ったりとか、”その為に何が出来るのか”っていうのをずっと考えながら、2~3年間ぐらい動いていました。けど実際に応募する時ってもう働いてなかなか時間が取れなかったので、やっぱり弁護士の方に頼んだのは良かったなと思います。

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最近のご活躍について教えて下さい。ラウンドアバウト・シアターではどの様な活動をされているのですか?

ラウンドアバウト・シアターはアメリカの中で最も大きい非営利の団体です。そのプログラムの一つの、毎年10人が選ばれるディレクターズ・グループに所属しています。月に一回集まって、お互いの活動をシェアしたり、ゲストを呼んでキャリアや業界について話を聞きます。

職業名と仕事内容が日本とアメリカでは違うこともありますが、その辺りも踏まえていかがですか?

日本の業界に馴染みがないので、もしかしたら変わらないのかも知れないですが、アプローチの仕方が違うとはよく聞きます。アメリカではどんな立場にいる人でもプロダクションの一員で、とても平等だと感じています。

今はラウンドアバウト・シアターのディレクター1本でやられているのですか?

フェローシップの一環なのであくまでもフリーランスとして働いています。

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他にはどの様な活動をされているのですか?

今は全米ツアーのアソシエイト/アシスタントの仕事や、「Alice by Heart」というミュージカルをニューヨークで演出しています。その後は、ニュージャージーのPaper Mill Playhouseで「Beautiful: The Carole King Musical」を予定しています。他にも新しいミュージカルや一人芝居の演出としても携わっています。

今後の目標について教えていただけますか?

ニューヨークに住み続けて業界に居続けて踏ん張り続けるだけで、大変なことだなっていうのは日々生活していて実感するので、まずはそこをベースにしたいです。アメリカのミュージカルを日本に持っていくプロセスにもここ2~3年の間には関わっていきたいと思いますし、凄く楽しみでやりたいことの一つですね。

逆に日本からそちらに行く作品などは興味ないですか?

全然あるんですけどなかなか機会が少ないくて…橋架け橋みたいな存在になる夢は変わらないので是非やりたいです。

河村さんの様に海外でアーティストとして活躍する夢を持つ人にメッセージをいただけますか?

目指す上で分からない事、知らないことが日本にいた時私も多かったので、とにかく来てみることもすごく大事だと思っています。来てみて経験してみて、そこで自分で何を感じるかに委ねてみるのも良いんじゃないかなと思うので、勇気が出ないとか一歩踏み出すのが怖いと思う人はまずやってみることをお勧めします。

Photo Credit :[@LaurenSowa]



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