圧巻の生演奏と実力派ヴォーカリストたちによる、ディズニーのまほうの音楽会
ディズニー・オン・クラシック:ディズニー・アニメーションや映画、テーマパークの音楽を、ニューヨークで活躍するヴォーカリストとオーケストラの生演奏で贈る音楽会。今年のテーマは「With You ~愛を奏でる」。アニメーション映画『美女と野獣』を8年ぶりにフィーチャーし、「美女と野獣」をはじめ、「ひとりぼっちの晩餐会」、「強いぞガストン」、「愛の芽生え」など、美しい娘ベルと醜い姿の野獣の間に芽生えた“真実の愛”の物語を、スクリーンの映像と照明演出と共に届ける。第1部のディズニー創立100周年を祝う特別プログラムとの二部構成。
ディズニー創立100周年の歴史を振り返る第1部。ミッキーマウスのデビュー作『蒸気船ウィリー』からスタートし、ディズニー史を映像とストーリー、音楽を合わせて振り返っていく。選曲は幅広く、飽きる間もない。ヴォーカリストたちが客席に降り立った『ピーターパン』より「きみもとべるよ!」、ヴォーカリストがペンライトを振りながら披露する「小さな世界」、「チム・チム・チェリー」(『メリー・ポピンズ』)では客席に座る演出もあり、歌以外でも楽しませた。
「時は来た」(『ライオン・キング』)では、オーケストとコーラスの壮大さが心に沁みる。「レット・イット・ゴー」では『アナと雪の女王』のエルサの力強い歩みを表すようにドラムが響いた。『ミラベルと魔法だらけの家』の世界観が、「秘密のブルーノ」のパーカッションで会場に漂う。実写映画メドレーには『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』や『アベンジャーズ』など、大ヒット映画の楽曲も含まれており、映画ファンとしては堪らなかった。
第2部では、『美女と野獣』の物語が忠実に描写されていった。物々しいプロローグが、重低音とシンバルで幕を開ける。オーケストラの生演奏でセリフが生き生きとしたのは、父の発明品のシーンだった。一転し、鳴り響く轟音とコーリー・リングナーの迫真の演技で伝わる、野獣のお城へ迷い込んだベルの父の恐怖心。「ベルのひとりごと」でシェイレン・ハージャーが魅せたベルの強い夢への情熱は、圧倒的だった。デイヴィッド・コールーが歌うガストンのターバンのナンバーではダンスもあり、映画のシーンが甦る。「ひとりぼっちの晩餐会」は観客が総立ち、手拍子で盛り上がり会場は笑顔で満ちた。ステージからも天井へ青と紫のスポットライトが飛び交い、パーティ感が一層増す。「愛の芽生え」では、ヒュー・エントレキンが見せた野獣の優しさが音楽と演技を通じて鮮やかに表現され、ベルと野獣の惹かれ合う姿に観客の目が潤んだ。
互いにドレスアップし登場したベルと野獣。ジュリア・ホサックが歌うポット夫人の「美女と野獣」に加え、スクリーンに映るアニメの映像に合わせて踊る二人の姿は、涙なしでは観られない。星空や曲終わりにベランダに出る様子まで、忠実に再現されていた。ガストン率いる村人達の「夜襲の歌」で表現された村人達の恐怖や一致団結した様子は、迫力満点でこちらも力んでしまう。クライマックス、映像で野獣が元の姿に戻る際に放つ魔法の光が、スポットライトによりステージから客席を照らし、一気に没入感で溢れる。最後はヴォーカリスト全員のコーラスで美しく締めくくった。
アンコールでは、シェイレンを筆頭に「時は永遠に」(実写版『美女と野獣』)が届けられた。『塔の上のラプンツェル』に『白雪姫』から、『ブラザー・ベア』に『シュガー・ラッシュ』まで、これまでのディズニー作品を繋ぐ映像は、観客に感動と感慨を呼び起こした。
オーケストラ・ジャパンの圧巻の生演奏と、実力派ヴォーカリストたちの力強いパフォーマンスによって送られた夢のひと時。会場はまさに「まほうの音楽会」っとなった。時折聞こえてくる啜り泣きや、耐えない熱のこもった拍手が観客の満足度を表している。ディズニー音楽が少しでも好きなら、ぜひ一度足を運んでこの感動を体験して欲しい。
※出演者・演目・演出は変更される場合がが変更される場合がありますので、予めご了承ください。
Photo Credit: [Presentation licensed by Disney Concerts. ©Disney]
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